もっと身近に。JAと消費者をつなぐ情報サイト

旬の野菜をナビゲート旬の野菜をナビゲート

Vol.3「ホウレンソウ」

ヒユ科ホウレンソウ属の1年草。原産地はコーカサス地方などと言われています。日本には17世紀に中国から導入されました。

カロテンや鉄分を多く含む代表的な緑黄色野菜で、昭和40年代以降、栽培・利用が拡大しました。

ホウレンソウには、葉肉が薄くギザギザした形の東洋種と、葉肉が厚く丸みを帯びた形の西洋種とがあり、この2種間で交雑が行われ様々な品種が開発されました。

直売所で聞いたホウレンソウのオススメ

たなばたけ高砂店
堀田(ほった)めぐみさん

ホウレンソウは、貧血予防に効果のある鉄分や、造血作用のある葉酸を多く含んでいます。また風邪予防によいとされるビタミンC、骨の形成に有効なカルシウム、高血圧予防に作用するカリウムなどもバランスよく含みます。
また、ホウレンソウにはアクの成分となるシュウ酸が含まれており、これがえぐみの原因になってしまいますが、熱湯でゆでた後、水で冷やすことでシュウ酸が減少し、えぐみを緩和してくれます。
おひたしなど、ゆでて調理するのではなく炒め物などにする場合は、あらかじめ下ゆでしておくとアクが抜けます。ただし、ゆですぎたり、水にさらしすぎたりすると栄養が流れ出てしまうので注意しましょう!

美味しい見分け方

葉先まで張りがあるものを選びましょう。また、葉色が濃いものほど栄養価が高いといわれているので、緑色が濃く、厚みがあるものがオススメです。
しおれているものは鮮度や保存状態がよくないので避けましょう。

保存方法

軽く湿らせた新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫へ入れます。2~3日を目安に使い切りましょう。

食べきれないときは、軽くゆでてから水気を切り、冷凍保存しておくと便利ですよ。

ホウレンソウの育て方

栽培の特徴

ホウレンソウの生育は比較的早く、種まきから収穫まで、高温期では20日間、低温期では50~60日間程度です。

一般的に冷涼な気候を好み、暑さに弱く、25℃以上になると発芽が悪くなるだけでなく、病害の発生も多くなります。品種改良によって一年中流通するようになりましたが基本的には暑さに弱い作物です。根は密生して深く伸びるので、耕土が深く、有機質の多い肥沃な土壌が適しています。

ポイント

ホウレンソウは、葉物の中では比較的発芽させるのが難しい野菜です。
特に乾燥が続く夏季は播種前に「芽出し処理」をすると発芽が良くなります。
「芽出し処理」は、種を1日流水に浸したあと、ガーゼなどに包んでビニール袋に密閉し、冷蔵庫で2~3日入れておくことで、種から少し芽を出させる作業です。発芽させてから播種することで、欠株を防ぎます。

育て方

1

1. 畝づくり

種まき2週間前に石灰20kg/aを全面に散布し、よく耕します。さらに種まき1週間前に畝の幅を60cmとり、深さ20~30cm掘り、そこに堆肥と化成肥料を播きます。その後、平らに埋め戻し、高さ10cmの畝を作ります。

2

2. 播種

条間20~30cm間隔で深さ1~2cm程度の溝を作ります。その溝に1cm間隔で種をまきます。日差しの強い日や、雨の多い時期に種まきすると、発芽しなかったり、発芽したばかりの苗が溶けてしまう可能性があるので、避けましょう。

3

3. 間引き

発芽して本葉が1~2枚出たところで3~4cm、4~5枚出たところで5~7cm間隔に間引きます。できるだけ子葉が大きいものや形が整っているものを残しましょう。

4

4. 収穫

草丈が20~25cmくらいになったら、大きいものから収穫します。株ごと引き抜いても、根元から切っても構いません。1週間~10日おきに種まきの時期をずらせば少しずつ収穫できるので、利用しやすいですよ。

生産者のこだわりを徹底調査!

ホウレンソウは、基本的にダニやアブラムシなどの害虫や病気に注意すれば、栽培しやすい野菜だと思います。
間引きなどの管理作業は大変ですが、とにかく基本に忠実で丁寧な作業を心がけています。
消費者のみなさんに手に取っていただけるよう見た目がきれいなもの作るため、収穫から出荷までの作業は特に力を入れていますね。
また、虫害から守るため、べた掛け資材を活用して害虫の飛来を防いでいます。
今後も自分の目で確かめながら、より品質の高いホウレンソウを作りたいですね。
(JA仙台管内の主な生産地:中田、長町、六郷、高砂など)


生育状況を細かく確認します。


べたがけ資材を活用して害虫から守ります。

プロフィール

JA仙台青年部 長町支部盟友
今野俊也さん

平成16年に就農。両親とともにハウスと畑合わせて45アールで農業を営む。キュウリ、コマツナやホウレンソウ、曲がりネギなどを年間10品目以上の野菜を少量多品目で栽培。出荷先は地元スーパーのインショップを中心に、市場などにも出荷している。地元中学生の職場体験の受け入れも行っている。

ホウレンソウの簡単ドリア

材料(4人分)

  • ホウレンソウ:150g
  • タマネギ:1/4個
  • ベーコン:80g
  • 薄力粉:大さじ1
  • 牛乳:500cc
  • 長イモ:50g
  • ごはん:480g
  • ピザ用チーズ:60g
  • 塩:少々
  • コショウ:少々
  • サラダ油:適量
  • バター10g

作り方

  1. ① ホウレンソウは3cm程度の長さに、ベーコンは1cm幅に切る。タマネギはみじん切り、長イモはすりおろす。
  2. ② フライパンに油とバターを入れて熱し、タマネギ、ベーコン、ホウレンソウを炒める。塩・コショウを少々加え、薄力粉を全体に振って炒め合わせる。
  3. ③ 牛乳を少しずつ加えてのばし、ふつふつとするまで温めて長イモを加える
  4. ④ ボウルにご飯を入れ、③の半量を加えて混ぜ合わせる。
  5. ⑤ 耐熱皿に④を等分にいれ残りの③をかける。チーズをのせ、グリルやトースターで焦げ目がつくまで焼いたら完成。

3

5

一口メモ

ホウレンソウに含まれるシュウ酸は体内で蓄積したカルシウムと結合して骨粗しょう症や結石の原因になってしまうことがありますが、乳製品と一緒に摂取すればその心配がないので、おすすめですよ!

カワシマ ヨウコ先生
野菜ソムリエ プロ
フードコーディネーター